1Jul
今年度に入り、積極的に他の保育施設やそこを運営している経営者・理事長の方とお会いするようにしています。
すべては、自分の視点・視野・視座を広げること、変えることのためですが、これがなかなかにいい感じです。(ふわっとした表現ですが…) 自社と比較してどうか?ということももちろん大切なんですが、結局のところ「子育て支援の世界」には答えがあるようでないです。もちろん、ガイドラインは法令といったところはあり、そこは答えではあるものの、最終的に受益者である子どもとの関わり方、保護者との関わ方については多種多様だからです。
訪問しお会いさせていただくたびに、新しい気付きと感動があり、「保育って面白いなぁ」と思っているところです。
保育現場の保育士ほど他園を見るべき
だからこそ、私は保育現場で働いている保育士ほど他園の状況を見るべきだと思っています。いい意味でも、悪い意味でも、自園との比較をしてしまう時間を過ごすことになり、人によっては落ち込む人もいるみたいです。(余談ですが、保育士の方って「できていること」よりも「できていないこと」に目を向ける傾向が、一般企業の人よりも多い気がします。自己肯定感が低い人が多いのかなとも思ったりしますが…)
それだけ、他の園の保育を見学することは非常に大きな刺激になります。ぜひ行ってもらいたいと思っています。
経営サイドは他園見学を行う際に園を変革する意思を示すべき
そうした中、経営サイドの視点から見ると、職員の他園見学にはいくつかクリアすべき課題のようなものもあります。
他園を見学してもらうにしても、経営サイド的にその目的を明確にして見学をしないと意味がないと思っています。
要するに、何の目的もなく、職員を他園見学に送り出しても、園が良い方向に変わるか?ということです。
そのうえで「誰がいくか?」という問題があります。
もちろん裁量権のある人が見学に行き、それを自園で即実践できることがよいでしょう。
しかしながら、「裁量権がないけれど、やる気のある人」が見学に行くと、見て学んだことを自園なりに取り入れていくにしても、上司(園長・主任等)と同僚の心を動かす必要があります。
この「心を動かす」というところがポイントで、人間は「変化を嫌う」動物だということです。特に保育業界で働く人は、そうした変革に経験をもったことがない人が多く、組織の上層に行くほど変化への抵抗感が強い傾向があると感じています。
そのため、見たままを伝えたとしても「あの園の環境だからできる」と一刀両断で切られる可能性が高いです。要するにいろいろな理由をつけて「うちでは無理」と判断する場合があります。
こうした状況を招かないようにするためには、そもそも会社のトップレベルで「園を変えるのだ」という強いメッセージが大前提となります。もちろん、園長自信がそう思うことが望ましいのですが、そうでない場合ならなおさらです。
法人としての強い方針をもとに、見学に行った人からの改善提案を丸呑みするのではなく、なるべく自園に合わせて採用するのだ。という経営タスクとして降ろさないと、見学に行った先生のやる気を逆になくさせるだけでなく、組織内での対立を招きかねません。
ただ、見学をするのではなく、トップほど強い目的意識とその意思を示しながら、他園見学を通して学んだことを現場に取り入れていく。こうしたスタンスがないと、他園見学は単なる「見学旅行」になってしまいます。