3Feb
私は「営業」という仕事が大好きです。
新卒で社会人になったときは「営業って頭をペコペコ下げるだけのつまらない仕事」と思っていましたが、社会人人生を通して徐々に好きになってきており、今では一番好きな仕事かもしれません。
創業社長から相談を受けることが多いのですが、本当に営業がみなさん苦手というか、人によっては「嫌い」な人が多いですよね。
でも、創業した企業が3年もたずに潰れる理由はいくつかありますが、実はこの「営業」というところが大きいのではないかと私は思っています。
よく、営業にとって必要なスキルはなんですか?と社員から聞かれます。そういった社員は私の「話し方」や「資料作成」にフォーカスして聞いてくる場合が多いのですが、この2つはあくまで補助スキルであって営業能力の本質ではないと思っています。
話が上手とか、パワーポイントの資料作成がうまいとか、人間関係が得意といったことは、営業の能力にはほぼ関係ありません。
むしろ”立て板に水”のごとく、ペラペラと話をする営業マンよりも、話しぶりは朴訥でも”聞き上手”なタイプのほうが信頼感を得て、支持されることも多いのです。
ではなんだと思いますか?
それは「観察力」です。相手のことをどこまで深く観察できているか?ということです。
必死に観察するから、気づくことがあります。気づいたことから「仮説」を立てることができます。
営業活動とは、この「仮説」をもとに、「今日はこのお客様(の心)に、今いるここの場所からここの場所までまで移動してもらおう」と一つ一つその可能性の検証をしていく作業なんです。
そこには、立板に水を流すようなペラペラ喋る営業は不要です。
相手の興味関心に関する「仮説」をもとに、問いかけをして話をしてもらうことが重要なのです。
で、こうしたことができない社長を何人も知っています。
そうした社長は、だいたい数年で手元資金が尽きる(または、辛くなって)会社を畳んでしまっています。
営業が下手な創業社長とは?
では、裏を返して、営業が下手な社長の特徴とはどういう人か?
私が見てきた営業が下手な社長は大きくわけて2つのポイントが挙げられます。
1つは「頑固な人」
というより、正確には「頑固であることに自覚がない、頑固な人」と言った方が正しいかもしれません。
そういう人は、よく「過去の成功体験」をもとに色々と意思決定をすることが多く、人の話や社員からの提言などを聞いているようで「それは、俺の経験からいって〜」と却下したり過去のやり方に個室したりします。
こういう人は、変に過去の栄光なのか経験などによってプライドが強化されていたりするから、タチも悪いです。
あと、そういう社長って自分で調べないですよね。
過去、自分が経験したときは確かにそういったことが事実としてあったかもしれませんが、時間が流れ「今はどうなっているのか?」ということを、自分で確認したり調べたりせずに「あ〜それは◯◯だから、ダメだね」と判断したりします。
2つ目にあげられるのが「Try&Errorが苦手な人」
創業社長なんてものは、失うものがないため、すべてはプラスに働くはずです。
それなのに、こういった社長は「失敗したくない」という意識が働いてしまい、顧客開拓でも「知っている社長さん」のところにばかり営業をかけたり、「紹介をアテにしたり」する傾向が強いです。
2つめに挙げられるのが「トライ&エラーが苦手な人」。
先に挙げた「どうせ何をやっても、お客なんか増えないし……」という考えの裏にあるのが、「失敗したくない」という意識です。
私自身、新規開拓に注力していると申し上げましたが、「じゃあ、どうやったらお客さんを増やせるんですか?」と尋ねられたら、残念ながら「それはわかりません」と答えるしかありません。
創業当初の営業活動なんて、正解はあってないようなものなので、すべてを「まずはやってみる」という意識がとても大切です。
それなのに、効率性という綺麗な単語に心をとらわれて、「そんなやり方だと、新しい顧客開拓なんてできないよ」と最初から決めつけて、易きに流れるのもこういった社長の特徴かと思います。
正解は、そのときの状況や顧客の特性や関係性などですべて異なります。ですので、Try&Errorで模索していくしかありません。
やれることは何でもやってみる。やってみて、効果がないとわかったところで、新たな施策にトライすればいいのです。
私が10年以上会社を続けてこられたのも、採算性が原則赤字事業の「病児保育」をやり続けてこられたのも、すべてはこの「営業」スキルだったと言っても過言ではないです。
営業ができない創業社長は社長を名乗る資格はないとさえ思っています。