8Feb
子ども主体の保育を掲げて法人全体としては運営を行っていますが、現場レベルになるとまだまだ試行錯誤を繰り返し、一朝一夕ではできない難しいところが多々あります。現場の先生たちは今までの保育のあり方や考え方を大きく転換しないといけないので四苦八苦しているようですが、それはとても大切なことなので私は見守っています。
で、こうした子ども主体の保育を目指したときに必ず出てくる課題の一つが「子どもに対する指示・命令」と「禁止指示」です。
「Aちゃん、◯◯◯しなさい!」という指示命令であったり「Bくん、◯◯◯はしないように!」のような禁止指示ですね。
頭ではわかっているけど実際の現場では簡単にはできません。それはなぜか?
大きく分けて2つの要素が必要不可欠だからです。
1つは、子どもを「一人の人格」として捉えて、人間同士”対等な立場”で関わることができる人間性を関わる保育士が持っているか?
そしてもう1つは、そもそも「子どもを叱って、禁止しなくてよい環境」が整えられているか? です。
例えば、部屋の中を走り回る子がいて、よくある保育士の関わりとして「部屋の中は走りません!」という禁止指示をする光景を見たことはありませんか?
この例で言うと、そもそも部屋の中を走りたくなるのはなぜか?を担当の保育士はまず考えなければいけません。
環境がコーナーなどで区切られておらず、走りたくなるようなスペースができているからではないか?
”走る”という行為を行いたい欲求が普段から満たされていないのではないか?
今、出されている玩具などが、その子の興味関心にあっていないのではないか?
保育士が走ること以外のことに、興味関心を向けるような介入ができていないのではないか?
他にもいろいろ可能性がありますよね。
そして何より「走りたい」という気持ちを理由を説明されず「走るな」と禁止される。これは、逆の立場だったらどう感じるかです。私なら「理由くらい説明しろよ」と思うし、「走らなくても楽しめるものを用意してくれよ」と思います。
それを、「走ること=悪いこと」として禁止することは、禁止指示によって子どもの行動に制約を課しているだけで、保育の仕方としては不適切であると言えます。
保育士は保育環境の一部です。
保育士である以上、子どもの育ちのために禁止指示をしなくてもよいような、環境構成を常に意識していきたいものです。